コーポレート・ファイナンス研究における資本制約の代理指標
資本制約について一時期いろいろと調べており,また最近も分析に使う必要が出てきたので,ここらでいっちょ忘備録としてまとめを。。。
最近の研究で使われる資本制約の指標は大きく2つ。(i)単一変数による分類,と(ii)回帰モデルによる指数化
- 単一変数による分類
Almeida, Campello, and Weisbach (2004 JF); Acharya, Almeida, and Campello (2007JFI); Campello and Graham (2013 JFE)によって使われている。
1. 年ごとにペイアウト比率を用いる: 上位3十分位が非資本制約サブサンプル,下位3十分位が資本制約サブサンプルと定義する。
ペイアウト比率は,(配当額 + 自社株買い総額)/総資産 と定義します。
2. 総資産額を用いる: 総資産額で並べた時,上位3十分位が非資本制約サブサンプル,下位3十分位が資本制約サブサンプルと定義する。
Gilchrist and Himmelberg (1995)などでは資産総額によって資本制約の指標として良いんだ!と主張。理由は,小さくて若い企業って大体,カネが足りてない上に金融市場とのフリクションも大きいだろう??というアイディアに基づく。
3. 社債格付けを用いる: (i)サンプル期間中に格付けが存在せず,(ii)社債発行も行わなかった,(iii)借入が存在する,これらを満たす企業年を資本制約サブサンプルと定義する。お金を借りたくても格付けが無いから社債が発行できなかった企業は資金調達が不自由なんだろ??ってアイディアに基づく。
同様の手法は,Gilchrist and Himmelberg (1995)/ Cummings, Hasset, and Oliner (2006)でも用いられているとのこと。
4. CP格付けがない企業で,かつ借入は存在する企業年を資本制約と認定。アイディアは3.に類似。
先行研究は,Calomiris, Himmelberg, and Wachtel (1995)より。
大味ですね―
- 回帰分析を用いて指標化
Kaplan and Zingales (1997 QJE)によるKZ-IndexとWhited and Wu (2006 RFS)によるWW-Indexが有名。
企業iのt期における資本制約インデックスは,それぞれ,
となります。
それぞれの指標値が大きいほど資本制約の程度が大きいとみなされます。
DIVPOSは,配当を支払っている企業年は1,支払っていなければ0です。後の変数はまぁ見ての通りです。
先日まで使っていたはてブのデザインだとtexの内容が上手く表示しない(黒地に黒文字)なので,またまたデザインを変更しました。バタバタしている感じでやだなぁ。