60年代から第一線で活躍しているEugene Famaの半生記(これ)を見つけたので紹介します。

Fama, E. F., 2010. My life in finance. Annual Review of Financial Economics (Forthcoming)

ファイナンスが経済学の一分野として認識されたのと同時期であることを考えれば、ファイナンス研究の歴史が書かれているといっても過言ではない。
途中(p.12)で書かれているけど、研究分野もasset pricing、corporate financeの両分野で一定の数が存在すること、また(ペースは落ちたものの)現在でもインパクトのある論文をを考えると、まさにファイナンス研究の生き証人の一人。

Famaと言えば、効率的市場仮説という言葉を生み出した(Fama, 1970)ため、市場万能主義者とのイメージを持っている方も多いかと思います。ただ、1993年のマルチ・ファクタ・モデルの発明や、後述するような行動経済学への理解も含めると、過去の研究成果を常にリフレッシュしていき、ファイナンスという分野の発展を第一に考えているのだなと言うことが分かります。

また、最後の方では、今後の研究の方向性のひとつとして、(効用関数を発展させる方向性のひとつとしての)行動経済学への理解*1も書かれていました。
「資産価格理論では、主にポートフォリオ洗濯には資産やポートフォリオ収益率の分布に着目してきたものの、収益に関連しない資産の他の側面に対する嗜好(tastes for other charecteristics of asset)も重要である可能性がある」と指摘しています。実際にFama and French (2007)ではそのことに触れているとの事でした(僕は未読です)。

FF 1993くらいしか読んでないですが、古い論文から順序だって読もうかなとも思います。

*1:John CochraneのNew York Timesへのインタビューでも書かれていましたが、今のChicagoは以前と比べて多様な人材が集まっており、いつまでも新古典派の牙城というのはやめませんか。