日本企業の配当政策 案外フレキシブルだったって話

Lintner (1956)なんかでも言われている通り,企業は一般には配当を一定額支払う。例えば5円配当みたいな感じで。このことを配当の平滑化('dividend smoothing')と呼ぶ。ここまでが前提。
先週の学会で討論をした論文が面白かった。日本企業を調べてみると,実際には配当額を業績に連動させる企業が多いとのこと。細かな制度や税制は異なりますが,これは配当を自社株買いのように使っているように見て取れます。
例えば以下の企業のIRのページを見ていただきたい。配当額が波打っているのが分かるかと思います。
東京エレクトロン
http://www.tel.co.jp/ir/stocks/dividend/

米国なんかでは,株主還元政策として配当より自社株買いを選択する企業が増加しているとのこと(たとえば,Fama and French 2001など)。ではこの日米の違いは何なんでしょうか。
税制の違い?意思決定の早さ?

とはいうものの,一定配当を行っている企業もあるわけ。なので,例えば,定額配当の企業と業績連動型との,減配時のアナウンスメント効果なんか簡単に論文が書けそうですね。誰か一緒に書いてください。

Fama, E. F., & French, K. R. (2001). Disappearing dividends : changing firm characteristics or lower propensity to pay? Journal of Financial Economics, 60, 3–43.