The Journal of Finance

まずは,lead articleのLowry, Officer, and Schwert"The variability of IPO initial return"がツボ.
IPO日の収益率には波があることが言われていたのですが,その波の原因の一つとして引受主幹事の能力不足があることを主張した論文.IPO時における引受主幹事の行動には対してはざくっと3つの考えがあります.第1が引受主幹事万能説.第2が引受主幹事は悪い個としている奴らだ説.第3は根本的に奴らは無能である説.大御所Jay Ritterは第2で,あとの人たちは第1が多いイメージ.この人たちは第3の説に属します.引受主幹事が有能であれば,市場の状況に関係なく.IPO日の高い収益率をおさえることができるはずで,それができていないのは主幹事の能力不足が原因だと指摘したわけです.ちなみにここの前提が崩れるとこれまでのIPO研究の大半が崩れかねない.これまでの研究は,主に第1の説が主流だった分,reviewer対策に時間が掛かり,パブリッシュが遅れたのではないかと勘くぐっております.

2本目Gomes"Levered Returns"は,投資意志決定と資金調達が動じ決定にあるときの株式リターンを見た論文っぽい.今興味ある分野に近いので近いうちにちゃんと読んでみたい.

もう1本ツボなのは,Cooper, Gulen, and Ovtchinnikov "Corporate political contributions and stock returns".企業の政治献金が将来の企業の収益性に繋がることを明らかにした論文.日本だと政治の企業に与える影響って大きいと思うんですね.そう言う意味でこの論文は面白いのかなと.また最近もNBERに Dopowerful politicians cause corporate downsizing?なるタイトルの論文が発表されていることからも,政治/政府と企業の関係って面白い研究対象になるんじゃないかと思います.

あと,今号のJFには,IPO時点の同業他社のリターンを調べたHsu, Reed, and Rocholl"The game in town: Competitive effects of IPOs"や,今書いている論文で引用している研究者どもがタッグを組んだ論文,Almazan,Motta, and Titman "Financial structure, acquisition opportunities, and firm locations"といった面白いコーポレートファイナンスの論文がいっぱい!!

ほかの2冊についても,時間があるときに紹介します!!