FMAに参加した: 雑誌のエディターは何を考えているのか

2年ぶりに参加してきたので,いくつかのネタを投稿しようかと。

 

「ぶっちゃけ雑誌のエディターは何を考えてるのかを聞いてみようよ」ってセッションがあり,実際に某雑誌のエディターが来て喋ってた。一般にはBランクには評価されていて,IFは1前後。私自身の英語力に問題があるので,聞き間違いなどがあるかもしれません。

トップジャーナルから落とさらて,Bランクに投稿する際は,それまでにもらったリジェクトレターに書かれていた修正点は極力直したほうが良い

Bランクなので,Aランクでリジェクトされた論文が回ってくることが多い。それで以前のレフェリーとの関係が完全に絶たれるわけではない。違うジャーナルでも同じ人がレフェリーをする頻度は高い。

理由は,レフェリーを依頼できる研究者はそれほど多くないこと。若手は経験が少なく,シニアは忙しい。そのことを考えると,少ない候補者からレフェリーを依頼することになる。候補者リストはどこのジャーナルでも似たり寄ったり。そのことを考えると,ジャーナルのランクを下げたとしてもトップの時と同じレフェリーに当たることは案外多い。その際,以前に棄却していた内容を考慮していなかったら,次も落ちるよ,というアドバイス。

ちなみにそのエディターは,潜在的なレフェリーになれる研究者のリストをエクセルで管理しているそう。さらには以前に依頼したレフェリーレポートの質もチェックしているとのこと。

米国以外のデータを使うときは

米国外のデータを用いた論文の投稿が増えている。が,なぜ米国以外のデータを使うのか,きちんと明記しないと落とすよ。とのこと。
まぁ日本の研究者の間でも,最近はよく言われていることですね。米国外のデータを使う場合,なぜそのデータを使うことが意味があるのかをきちんと書いてね,とのこと。

内生性を克服するための統計手法

最近は,difference in differenceやregression discontinuity などを使った論文が流行っている。少し以前ならpropensity score matchingやIV。内生性を克服することは重要だけど,それらの手法をただ闇雲に使うのではなく,使う際には,どこに内生性があるのか,またそれらの手法がどういった点で素晴らしいのかをキチンと書いてね,とのこと。
最近流行りの手法なので,とりあえず使ってみましたとの研究が多い模様。

カバーレターに何を書くか問題

質疑の中から。カバーレターに,論文の概要や貢献点を書くべきか。答えは否。理由はAbstractを読んだら同じような情報が得られるから,意味が無い。あと,以前と比べて読まなくなった。
ただ,避けて欲しいレフェリーについては,正当な理由(conflict of interest があるなど)があれば考慮するとのこと。またその他,エディタに伝えたいことがあれば書いたらいいかもね,と。
レフェリーをして欲しい人をカバーレターにリストアップした場合,考慮することがある。ただ断定はしていませんでした。A-のジャーナルでも潜在的なレフェリーを投稿者に書かせることも多い,Aランクのジャーナルでは,レフェリーが匿名でないケースもある(本当?聞き間違いかも),ぶっちゃけレフェリーを探すのが面倒,といったことを考えると,考慮しない理由はない。

昔は,エディタやレフェリーには査読する論文が印刷された状態で送られてきました。そのとき,カバーレターは文字通りドキュメントの冒頭にあったので,エディタからすれば,目につきやすいものでした。ただ最近はオンラインでの投稿システムに移行したため,論文本体とは別のファイルとして送られてくるようになり,必ずしも初めに目を通すわけではなくなったようです。そのため,カバーレターの重要性は以前の紙を用いたシステムと比較して,かなり低下したとのことです。