米国のベンチャーキャピタリストがどのようにして意思決定しているか。

VCistがどうやって意思決定しているか。

"How do venture capitals make decision?"というタイトルの論文がJFEにforthcomingになってた。内容はベンチャーキャピタリスト(以下, VC)へのアンケートの結果。過去にも類似研究があるが、ここでは同一の活動の中で、どれがもっとも価値があるかを聞いているところが新しい。面白かったので、イントロの抜粋をリストアップ。

どこから投資先を見つけるか。

30%は専門家ネットワークから、20%は他の投資家から、30%は自分たちで見つけてくる。10%が企業側からの売り込み。

どのようにして投資先を選別するのか

経営陣が大事かビジネスプランが大事かという問題。
多くのVCはチームが重要だとしている。ビジネスモデルは次点。とくにアーリーステージやテック系だとteamの割合が高い。

価値評価の方法

MOIC, Cash on cash returnがもっとも使われる。IRRがその次。DCF, NPVはほとんど使われない。
全体の20%, アーリーステージの31%では将来キャッシュフローの予測を行わない。
全体の9%, アーリーステージの17%ではそもそも価値評価をしない。

契約の条項など

面倒なんで省略

ハンズオンについて

戦略面での助言、投資家紹介、顧客紹介、オペレーション面での助言、新しい取締役の紹介、従業員の紹介の順番。

VCはどのステージで価値付与ができるのか。

deal selection, value-adding, deal flowの順番

投資先企業の成長の源泉

チームがもっとも重要。そのあとにタイミング、運、技術、事業モデルが同じくらい重要視されている。
逆に投資先の失敗の理由は、産業、タイミング、事業モデルなどが挙げられているが、VC自身の貢献が足らなかったという点を挙げている回答は皆無(そりゃそうか)。

ちなみに

対象企業は、Chicago Booth, Harvard, Stanfordの卒業生名簿を主に使って探し出したとのこと。理由は著者らの所属機関であるのと、それらMBAからVC業界に多数人材が流れているから。ただそれらトップ校卒業生は優秀なので、カバレッジにバイアスがあるかもとは申告している(自慢か)。